Nouvelles Visions

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最後に、前出のガイドと比べるとマイナーではありますが、その内容において「いぶし銀」的な輝きを放っている優良ガイドを2誌、ご紹介します。

 

まず、 「Gault Millau」 。フランスでは「ミシュラン」と並び称されるグルメ雑誌・レストランガイドである 「ゴー・ミヨ」 が、年1回発行するワインガイドです。

 

 

 

生産者を4段階で、ワインを20点満点で評価している点は他誌と似たようなものですが、このガイドの特徴は、圧倒的に情報量が多いということです。

掲載されている生産者の数自体は、他のガイドと比べて多いわけではないのですが、各生産者についての情報が多いのです。

その秘密は、記号を多用していること。「ミシュラン」もそうですが、レストランガイドは、記号を上手に使ってたくさんの情報を盛り込むのがうまいですよね。

 

このガイドの場合、それぞれの生産者について、下記のような情報を得ることができます。

 

住所・電話番号・メールアドレス・ホームページアドレス

生産者の概要説明と4段階評価

特に優れた生産者に贈られる、 「Coup de Cœur」賞

今年新しく掲載された生産者かどうか

生産者訪問可否

紹介されているワインの、20点満点評価

紹介されているワインの、フランスにおけるおよその小売価格

各ワインの飲み頃予想時期

所有畑面積とぶどう品種別の面積比率

平均樹齢

 

 

ここまでは他のガイドも似たようなものですが、このガイドではこれに加えて、

 

 

コストパフォーマンスの高いワインを造っている生産者

「シャンブル・ドット」(生産者が提供する簡易宿泊施設)があるかどうか

生産者直売しているかどうか

ビオディナミか、ビオロジーか、(真剣な)リュット・レゾネか

生産者への車での行き方

ワイン以外に販売しているもの(マールやチョコーレート等々)

生産者がお奨めする、近くのレストランやホテル

 

なども掲載されています。

 

レストランガイドの出版元だけあって、「掲載生産者を訪問して、直接ワインを購入すること」に主眼が置かれており、ツーリストガイドとしての色が濃いといえるでしょう。

 

生産者は、超有名どころから新世代まで、バランス良く紹介されています。

私も含めて日本のワイン業者やワインファンの皆さんが、このガイドの生産者評価やワインの点数を参考にするにはまったく及ばないと思いますが、例えば実際にフランスに旅行して生産者を訪問したり、あるいは、フランスで出版されているワインガイドの”空気”を楽しみたい、というような場合は、ダントツでお奨めのガイドです。

 

私も、個人的にもっとも好きなガイドです。

 

 

<2009年度版掲載生産者>

 

 (アルザス)

 

Marcel Deiss 評価4

 

Domaine Mittnacht Frères 評価3

 

 

(シャンパーニュ)

 

Paul Déthine 評価2.5

 

Janisson-Baradon et Fils 評価2

 

Lilbert-Fils 評価3

 

Serge Mathieu 評価1.5

 

 

(ブルゴーニュ)

 

Jean-Pierre Bony 評価1

 

Digioia-Royer 評価1

 

Yvon et Chantal Contat-Grangé 評価2.5

 

 

 

 

トリを飾るのは、知る人ぞ知る超職人的ワインガイド、 「Dussert-Gerber」 です。

 

 

 

 

表紙の写真のアルバン・ミッシェルというオヤジさんが、ひたすら生産者とそのワインについてレポートしているガイドです。点数とかは一切なく、ひたすら文章のコメントが続きます。

 

他誌と比べて華々しいところはまったくありませんが、出版不況の中にあって(実際、超優良ワインガイドだった  「Guide Fleurus」 (通称ソムリエガイド) も、2008年度版から出版されなくなりました)、長年続いているところを見ると、根強い固定ファンがいるのだと思われます。

きっと彼らは、点数や★の数に一切頼らない、ある種の”潔さ”に魅かれているのでしょう。

私もそのひとりです。

 

 

もうひとつ、このガイドには誰も知らないような無名生産者がたくさん掲載されています。

全掲載生産者数に対する無名生産者比率でみると、全ガイド中ぶっちぎりのトップです。

明らかに、まだ無名な優良生産者にスポットを当てようという強い意志が感じられる編集です。

 

その点をとらえて、このガイドが「有名生産者から相手にされていない」と言う向きも現地にあるのですが、まあそう思う人は他のガイドを買ってもらって、

相撲の 「タニマチ」 ではないですが、まだあまり知られていない優良な生産者をいち早く(価格が安いうちに)マークしていくという、ワインの世界の醍醐味をどっぷりと堪能したい方には、たまらないガイドです。

 

実際、現在弊社が取り扱っているシャンパーニュRMや新ブルゴーニュの造り手の中にも、もともとはこのガイドで知った生産者がいます。

 

 

<2009年度版掲載生産者>

 

(シャパーニュ)

 

Françoise Bedel

Dauby

 

 

(ブルゴーニュ)

 

Les Temps Perdus

Pierre Amiot

 

 

以上、フランスの主要ワインガイド6誌の簡単なご紹介と、各ガイドの2009年度版に掲載された、弊社取り扱い生産者のお知らせでした。