Nouvelles Visions

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最後に、前出のガイドと比べるとマイナーではありますが、その内容において「いぶし銀」的な輝きを放っている優良ガイドを2誌、ご紹介します。

 

まず、 「Gault Millau」 。フランスでは「ミシュラン」と並び称されるグルメ雑誌・レストランガイドである 「ゴー・ミヨ」 が、年1回発行するワインガイドです。

 

 

 

生産者を4段階で、ワインを20点満点で評価している点は他誌と似たようなものですが、このガイドの特徴は、圧倒的に情報量が多いということです。

掲載されている生産者の数自体は、他のガイドと比べて多いわけではないのですが、各生産者についての情報が多いのです。

その秘密は、記号を多用していること。「ミシュラン」もそうですが、レストランガイドは、記号を上手に使ってたくさんの情報を盛り込むのがうまいですよね。

 

このガイドの場合、それぞれの生産者について、下記のような情報を得ることができます。

 

住所・電話番号・メールアドレス・ホームページアドレス

生産者の概要説明と4段階評価

特に優れた生産者に贈られる、 「Coup de Cœur」賞

今年新しく掲載された生産者かどうか

生産者訪問可否

紹介されているワインの、20点満点評価

紹介されているワインの、フランスにおけるおよその小売価格

各ワインの飲み頃予想時期

所有畑面積とぶどう品種別の面積比率

平均樹齢

 

 

ここまでは他のガイドも似たようなものですが、このガイドではこれに加えて、

 

 

コストパフォーマンスの高いワインを造っている生産者

「シャンブル・ドット」(生産者が提供する簡易宿泊施設)があるかどうか

生産者直売しているかどうか

ビオディナミか、ビオロジーか、(真剣な)リュット・レゾネか

生産者への車での行き方

ワイン以外に販売しているもの(マールやチョコーレート等々)

生産者がお奨めする、近くのレストランやホテル

 

なども掲載されています。

 

レストランガイドの出版元だけあって、「掲載生産者を訪問して、直接ワインを購入すること」に主眼が置かれており、ツーリストガイドとしての色が濃いといえるでしょう。

 

生産者は、超有名どころから新世代まで、バランス良く紹介されています。

私も含めて日本のワイン業者やワインファンの皆さんが、このガイドの生産者評価やワインの点数を参考にするにはまったく及ばないと思いますが、例えば実際にフランスに旅行して生産者を訪問したり、あるいは、フランスで出版されているワインガイドの”空気”を楽しみたい、というような場合は、ダントツでお奨めのガイドです。

 

私も、個人的にもっとも好きなガイドです。

 

 

<2009年度版掲載生産者>

 

 (アルザス)

 

Marcel Deiss 評価4

 

Domaine Mittnacht Frères 評価3

 

 

(シャンパーニュ)

 

Paul Déthine 評価2.5

 

Janisson-Baradon et Fils 評価2

 

Lilbert-Fils 評価3

 

Serge Mathieu 評価1.5

 

 

(ブルゴーニュ)

 

Jean-Pierre Bony 評価1

 

Digioia-Royer 評価1

 

Yvon et Chantal Contat-Grangé 評価2.5

 

 

 

 

トリを飾るのは、知る人ぞ知る超職人的ワインガイド、 「Dussert-Gerber」 です。

 

 

 

 

表紙の写真のアルバン・ミッシェルというオヤジさんが、ひたすら生産者とそのワインについてレポートしているガイドです。点数とかは一切なく、ひたすら文章のコメントが続きます。

 

他誌と比べて華々しいところはまったくありませんが、出版不況の中にあって(実際、超優良ワインガイドだった  「Guide Fleurus」 (通称ソムリエガイド) も、2008年度版から出版されなくなりました)、長年続いているところを見ると、根強い固定ファンがいるのだと思われます。

きっと彼らは、点数や★の数に一切頼らない、ある種の”潔さ”に魅かれているのでしょう。

私もそのひとりです。

 

 

もうひとつ、このガイドには誰も知らないような無名生産者がたくさん掲載されています。

全掲載生産者数に対する無名生産者比率でみると、全ガイド中ぶっちぎりのトップです。

明らかに、まだ無名な優良生産者にスポットを当てようという強い意志が感じられる編集です。

 

その点をとらえて、このガイドが「有名生産者から相手にされていない」と言う向きも現地にあるのですが、まあそう思う人は他のガイドを買ってもらって、

相撲の 「タニマチ」 ではないですが、まだあまり知られていない優良な生産者をいち早く(価格が安いうちに)マークしていくという、ワインの世界の醍醐味をどっぷりと堪能したい方には、たまらないガイドです。

 

実際、現在弊社が取り扱っているシャンパーニュRMや新ブルゴーニュの造り手の中にも、もともとはこのガイドで知った生産者がいます。

 

 

<2009年度版掲載生産者>

 

(シャパーニュ)

 

Françoise Bedel

Dauby

 

 

(ブルゴーニュ)

 

Les Temps Perdus

Pierre Amiot

 

 

以上、フランスの主要ワインガイド6誌の簡単なご紹介と、各ガイドの2009年度版に掲載された、弊社取り扱い生産者のお知らせでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、前回のブログでも触れたミッシェル・ベタンヌとティエリー・ドゥソーヴのコンビが、「ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス」 誌より独立して刊行を開始した、 「Le Grand Guide des Vins de France」

 

 

 

内容は、以前の 「クラスマン」 とだいたい同じような感じですが、「クラスマン」が、生産者を星なし、★、★★、★★★の4段階で評価していたことに対して、こちらは、各地域ごとに生産者を5段階で評価し、また、1ページにつき2社紹介されている5段階評価ページの後に、 「その他の成功生産者」 として1ページにつき6~8社、掲載しています。

 

5段階評価されている生産者は、このコンビが「クラスマン」時代の昔から高く評価している生産者が選ばれています。

評価5の「DRC」や「ルロワ」など有名生産者も多いですし、そこまで有名ではない中堅生産者も多数含まれています。

 

パーカーや前回のブログの 「Les meilleurs vins de France」 のような、生産者の知名度と評価の高さが概ね比例関係にあるようなガイドと比べると、「えっこの生産者がこんなに高い評価?」 あるいは 「こんなに低い評価?」 と感じるような評価が多々あります。

ベタンヌとドゥソーヴはヨーロッパのトップワインジャーナリストであるため、有名ドメーヌが低く評価されていることに昔から議論もあります。

 

しかしだからこそ、私は、このコンビの見識の高さや、崇高なジャーナリズム精神を強く感じます。

 

ベタンヌについては、 「試飲会で、ベタンヌにワインを注いでいた生産者が彼の服にワインをちょっとこぼしてしまい、激怒して会場を出て行き二度と戻って来なかった」 とか、あることないこと批判的なヨタ話も多いのですが、百歩譲ってそのような話が本当だったとしても、だからどうだというのでしょうか。

 

プロの世界では、その人の人格と、「仕事としての作品」には何の関係もないのは常識ですし、というよりもむしろ、人格も含めた彼の”真実”は、「仕事としての作品」の方のみに表れるものだと思います。

彼のガイドを読むと、そのことがよく分かります。

 

(ちなみに、私は、ボルドーでベタンヌに会って一緒に試飲をしながら話をしたことがあります。彼の仕事に対する姿勢は真剣そのもので、テースティング能力は恐るべきレベルでした。そして、会話はユーモアとエスプリに溢れた、とても知的で楽しいものでした。)

 

ベタンヌとドゥソーヴの仕事の極意は、「生産者の知名度や高い価格などに惑わされることなく、自分達の舌できちんと試飲し、感じたとおりに評価する」点にあります。

まさしく、「当たり前のことを当たり前に」行っていると思います。

 

 

そしてもうひとつ、この2人は、新しい世代の生産者にも熱い眼差しを向け、自ら積極的に評価し、紹介する努力を昔から続けています。

いわば有名生産者達からもチヤホヤされる立場にある、彼らのようなトップジャーナリストとしては、異例の態度といえるでしょう。

 

今回のガイドでは、 「その他の成功生産者」 で紹介されている生産者が、概ねそれに当たります。

このコーナーでは、誕生して間もないが早くも良いワインを造りはじめている生産者や、昔から美味しいワインを造り続けているが知名度は低い、「いぶし銀」的な造り手が紹介されています。

ごく一部の例外を除き、このコーナーのほとんどの生産者の造るワインは、価格以上の品質を誇る、コストパフォーマンスに秀でたものです。

 

あるいはこのコーナーこそが、このガイドの本当の白眉と言っていいかもしれません。

 

 

<2009年度版掲載生産者>

 

 

(アルザス)

 

Marcel Deiss  評価4

 

(シャンパーニュ) 大手メゾンに不当に偏ることなく、RMもしっかりと網羅した濃い内容

 

Françoise Bedel  評価2

 

Paul Déthune  評価2

 

Lilbert-Fils  評価3

 

 

(ブルゴーニュ)

 

Les Temps Perdus  評価1

 

Lucie et Auguste Lignier  評価

 

Pierre Amiot  その他の成功生産者

 

Digioia-Royer  その他の成功生産者 (2009年1月復活取り扱い予定)

 

Nathalie Vigot  その他の成功生産者

 

Jean-Pierre Bony  その他の成功生産者

 

Jean-Louis Chavy  その他の成功生産者

 

Yvon et Chantal Contat-Grangé  その他の成功生産者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、フランスで最も権威ある月刊ワイン雑誌 「ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス」 が発行する、2つのワインガイドを紹介します。

 

 

いずれも、同誌による日々の取材・試飲活動の結果を反映させて、年1回出版されます。

 

  

まずは 「Les meilleurs vins de France」 (フランスのベストワイン)。

 

 

フランスのトップワインジャーナリスト、ミッシェル・ベタンヌとティエリ・ドゥソーヴのコンビが同誌に在籍していた2005年頃までは、このガイドは「クラスマン」または「ベタン」の通称で、日本のワイン業界でも広く読まれ、販売の現場でも活用されていました(緑色の表紙のやつです)。

ベタンヌとドゥソーヴが去った後は、少なくとも日本では以前ほど話題にならなくなったような気がしますが、2000年度世界ソムリエコンクール優勝者のオリヴィエ・プシエら強力な新メンバーの努力によって、中身はまったく色褪せることなく今日まで続いています。

 

豊富な情報が詰まっていますが、このガイドを有名にしているのは、生産者自体を ★★★★★星なし、で格付けしている点です。

昔ほどではありませんが、今年はどの生産者が3つ星に昇格したというような話が、今でも業界の話題の端に上ることがあります。

フランスワイン界の威信を背負っている(?)こともあってか、このガイドに掲載される生産者は、いわゆる有名生産者がほとんどです。

よって、新しい世代が中心の弊社取り扱い生産者は、ほとんど掲載されません。

 

 

<2009年度版掲載生産者>

 

(アルザス)

 

Marcel Deiss  ★★★

 

(シャンパーニュ)

 

Lilbert-Fils 

 

Françoise Bedel

 

(ブルゴーニュ)

 

Yvon et Chantal Contat-Grangé 

 

 

以上です。(少なっ!)

 

 

そして、愛好家や業界関係者問わず、おそらくほとんどの方にとってより大きな意味があるのが、同誌が発行するもうひとつのガイド、Les meilleurs vins à petits prix」 (低価格帯のベストワイン)です。

 

 

読んで字のごとく、こちらは特にコストパフォーマンスに秀でたフランスワインを厳選して紹介するもので、掲載される生産者の数は、親分の「Les meilleurs vins de France」よりもさらに絞り込まれたものになっています。

なにしろ同誌の1年間の取材・試飲活動の結晶として選び抜かれた「スーパーコストパフォーマンスワイン」がずらりと掲載されていますので、同業のバイヤーさん達にも、このガイドを熟読されている方は多いです。

「ギド・アシェット」 と並ぶ、2大「バイヤー御用達ガイド」といえるでしょう。

 

 

<2009年度版掲載生産者>

 

(ブルゴーニュ)

 

Les Temps Perdus Saint-Bris 2006

Les Temps Perdus  Bourgogne Blanc Intemporel 2007  (弊社未取り扱い)

Les Temps Perdus  Bourgogne Côtes d’Auxerre Rouge 2006  (弊社未取り扱い)

Les Temps Perdus  Chablis 2007  (弊社未取り扱い)

Les Temps Perdus  Crémant de Bourgogne  (新商品。2009年度輸入開始予定)

 

Nathalie et Gilles Fèvre  Chablis 2007

 

Ballorin & F.  Bourgogne Aligoté Le Hardi 2007  (弊社未取り扱い)

Ballorin & F.  Marsannay Rouge Les Echezots 2006

 

Rémi Jeanniard  Gevrey-Chambertin Vieilles Vignes 2006 

Rémi Jeanniard  Morey-Saint-Denis Vieilles Vignes 2006 

 

Jean-Pierre Bony  Bourgogne Passetoutgrain 2006

Jean-Pierre Bony  Bourgogne Rouge 2006

 

Agnès et Sebastien Paquet  Auxey-Duresses Rouge 2006

 

 

例年、弊社取り扱い生産者は、こっちのガイドの方にどっさりと掲載されます。

(というより、最初からそういうセレクションを目指しています)。

 

また、上記掲載生産者の中で、Ballorin & F. については、同ガイドが特別にスポットを当てている、 「発見された新しい才能」 のひとりにも選ばれています。

 

 

苦学の末にようやく独り立ちしたジル・バロラン。本当にいいヤツで、その繊細で透き通るように美しい味わいのワインとともに、私も心から応援しています。

 

 

 

 

 

 

フランスでは毎年9月から10月にかけて、様々なワインガイド本が出版されます。

出揃った「2009年度版」に掲載された、弊社取り扱いワインを整理してみました。

 

まず、おそらく日本でも最も知られた、通称「ギド・アシェット」から。

 

 

このガイドは、おおまかに言うと、掲載を希望する生産者がサンプルを提出して、各地方ごとの選考委員会のブラインド・テースティングによって高い評価を受けたワインが掲載されるシステムです。

2009年度版は、「900人のエキスパートによって、36000本の中から10830本が選ばれた」そうです。

テイスターの中に、ソムリエやカーヴィストといったプロだけではなく、多数の一般ワイン愛好家が含まれているのも大きな特徴です。

 

ワインは、星なし、★、★★、★★★の4段階で評価され、原則として、各AOCの中でもっとも高い評価を受けたワインについてはそのラベルが掲載されます(「Coup de Cœur」 クー・ド・クール といいます)。

尚、★★★を獲得するワインは極めて少ないです。

 

掲載された生産者やワインの概要はもちろん、フランス国内での小売価格の目安とか、(試飲して直接購入するための)生産者訪問の可否とか、まさしく 「ショッピング・ガイド」(=「ギド・アシェット」)の中にふさわしい内容で、フランスで発売されるワインガイドの中では圧倒的な発行部数を誇ります。

 

フランスでは、一部の超有名生産者や大手企業的な生産者を除いて、ほとんどの生産者からワインを直接購入できますが、このガイドで高く評価されれたワインはしばしば、愛好家からの注文の電話がひっきりなしにかかってきます。それほど影響力があります。

よって、特定の銘柄だけに注文が集中する事態を避けるため、敢えてサンプルを提出しない生産者も多々います。

 

とはいえ、それこそDRCとか、ボルドーの著名シャトーとか、シャンパーニュのグランメゾンといった錚々たる顔ぶれが掲載されていますし、実際、昔私が住んでいたジュヴレ・シャンベルタン村でも、今年は誰が「クー・ド・クール」をとったというようなことがこの時期生産者たちの間で大きな話題になっていましたので、ほとんどの生産者にとって、「名誉」的な意味でも、やはり極めて重要なガイドのひとつだと思います。

 

ちなみに・・・インポーターのバイヤーという立場から見たこのガイドのすばらしさは、2つあります。

 

ひとつは、ファーストヴィンテージのリリースを開始したばかりといった新しい生産者が、毎年多数掲載されることです。

なにしろ生産者がサンプルを提出するシステムですので、販売先を開拓したい新人生産者たちがこぞってサンプルを提出するわけです。

(したがって、毎年このガイドが発売されるや否や仲田さんに立て替えで買ってもらって最速便で送ってもらい、届いたら出社拒否して自宅に閉じこもり、掲載された新しい生産者の解析にとりかかります。)

 

もうひとつは、有名・無名問わず多数の生産者がかなり網羅的に掲載されていますので、このガイドに掲載された生産者の顔ぶれを毎年比較分析することによって、生産者の世代交代や、現地で好まれるワインのスタイルの移り変わりといった、現地の「流れ」がつかみやすくなることです。

こと、このガイドに関しては、「Coup de Cœur」や★★★をとった場合は別にして、個々のワインの★の数というよりはむしろ、 ”誰が掲載されたか” が重要なポイントだと私は思います。

 

 

・・・ガイドについての話はこれくらいにして、「2009年度版」に掲載された、弊社取り扱い生産者のワインを列記しておきますね。

 

(アルザス)

 

Domaine Mittnacht Ferès  Gewurztraminer Grand Cru Osterberg 2005   

(弊社未取り扱い)

 

 

(シャンパーニュ)

 

Françoise Bedel  Dis, Vin Secret  

 

Henri Chauvet  Brut Rosé   (2009年3月新発売予定生産者)

 

Paul Dèthune  Brut Rosé  ★★ Coup de Cœur

 

Grongnet  Carpe Diem

 

Serge Mathieu Brut Select

 

 

(ブルゴーニュ)

 

Nathalie & Gilles Fèvre  Chablis 2006  ★★ Coup de Cœur

 

Nathalie & Gilles Fèvre  Chablis Grand Cru Les Preuses 2006 

 

Les Temps Perdus  Chablis 2007  (弊社未取り扱い)

Les Temps Perdus  Chablis Premier Cru Montmains 2006 ★★ Coup de Cœur (弊社未取り扱い)

  

Ballorin & F.  Bourgogne Aligoté Le Hardi 2006   (弊社未取り扱い)

Ballorin & F.  Côtes-de-Nuits Villages 2006  (弊社未取り扱い) 

Ballorin & F.  Marsannay Rouge “les Echezot” 2006 

 

Jean-Michel Molin  Fixin Les Hervelets 2005   (弊社未取り扱い)

Jean-Michel Molin  Mazis-Chambertin 2006  (弊社未取り扱い)

 

Dominique Gallois  Gevrey-Chambertin Premier Cru La Combe aux Moines 2006  ★★ Coup de Cœur 

 

Etienne Cosson  Morey-Saint-Denis Premier Cru Clos Baulet 2005  ★★

 

Rémi Jeanniard  Morey-Saint-Denis Vieilles Vignes 2006 

Rémi Jeanniard  Chambolle-Musigny Vieilles Vignes 2006 

 

Olivier Jouan  Bourgogne Hautes-Côtes de Nuits Rouge 2006  ★★

Olivier Jouan Morey-Saint-Denis Premier Cru La Riotte 2006 

 

Pierre Amiot  Clos de la Roche 2006

 

Digioia-Royer  Chambolle-Musigny 2006   (2009年1月復活予定です!)

 

Nathalie Vigot  Vosne-Romanée 2005 

 

Domaine de la Douaix Savigny-lès-Beaune Rouge Dessus les Vermots 2006   (オリヴィエ・ジュアンの作。弊社未取り扱い)

 

 

今年は取り扱い生産者に4つも「クー・ド・クール」が出ました。

4人とも9月に会いましたが、みんなそれはそれは喜んでました。(本当によかったね!)

 

あとは、昨年度版に引き続き、モレ・サン・ドニの新世代生産者たちの躍進が印象的だった、「2009年度版」でした。 

 

 

今秋のフランス訪問の予習として取り組んでいた、ブルゴーニュの生産者の最新状況の整理が完了しました。(3ヶ月もかかってしまいました・・・)。

3月の「グラン・ジュール・ド・ブルゴーニュ」の成果も加えた、数千軒の既存生産者の情報更新を中心に、2007年や2008年がファーストヴィンテージといった新しい生産者についても、情報をすべて再整理しました。

この結果をもとに、今秋、既存取り扱い生産者、新規検討生産者合わせて約50軒を訪問してきます。

 

今回訪問生産者を選定するにあたって、つくづく思うことは、ブルゴーニュの優良ドメーヌはもう本当に日本に入り尽くしたなあ、ということです。

 

ブルゴーニュのどの村にどんな生産者がおり、どのようなワインを造っていて、ラベルデザインはどうで、価格水準はどうか、という情報は、もうほぼ100%分かっています。

 

日本のインポーターではあまり聞きませんが、他国のバイヤー達の一部もこの全貌把握作業を済ませています。そして、これらの既存生産者に世代交代が起こったとか、何らかの理由で味わいのスタイルが大きく変わったとか、ラベルデザインががらりと変わったとか、輸入業者が変わったとかの変化を常に追って情報を更新しつつ、たまに生まれる新しい生産者の情報についても真っ先にキャッチする努力を続けています。

 

インポーターの立場でここまでの作業をするのは合理性に欠けると言われればそうかもしれません。よって、ほとんどのインポーターは現地の仲介業者に生産者を紹介してもらっています。

そしてもちろん、優秀な現地の仲介業者達は、とっくの昔から全貌を把握した上で、日本のインポーターへの提案合戦を繰り広げています。

 

数千軒の生産者、というとなにか「無限」にあるように感じてしまいがちですが、しょせんは数千軒しかないのです。(ちなみに日本の駅の数は約9000くらいだそうです。「無限」ですか?)。

また、昨今の情報化・スピード化時代になってから、日本のインポーターに伝達される情報の質と量、そして、日本のインポーターが生産者を訪問する頻度も、「昔はなんだったのか」と思うような、それこそ全網羅的なものになっています。もう数年前からずっとそうです。

 

したがって、基本的には、今現在日本のインポーターが輸入していない生産者は、クオリティーや価格の面でどのインポーターも選ばなかったから入っていないのだと、もう断言できるようになりました。

 

特に、いわゆる主要アペラシオンジュヴレ、モレ、シャンボール、ヴォーヌ・ロマネ、クロ・ド・ヴージョ、ニュイ・サン・ジョルジュ、コルトン系、ポマール、ムルソー、ヴォルネー、シャサーニュ、ピュリニー)を造っている優良生産者のクオリティーの高いワインで、日本に輸入されていないものはもうありません。繰り返しになりますが、もしあったらどこかのインポーターが必ず既に輸入しています。特にブルゴーニュは、現地仲介業者、インポーター問わず各社血眼になって優良生産者を探し続けているわけですから。

 

余談ですが、これらの主要AOCの生産者でまだ日本に入っていない無名生産者には、同じ村の生産者達の間で、農薬や化学肥料の使用量がとりわけ多いことで知られた生産者が決まって含まれています。また、醸造上の大きな欠陥が見られる生産者も多いです。

農薬や化学肥料をたっぷりと使用したワインは、口に含んだ瞬間はいわゆる「薄旨スタイル」と勘違いしやすいのですが、じっくり試飲していくと、単に薄っぺらいだけ、もしくは単に酸っぱいだけで旨味がなく、しかも非常に固く感じます。そして抜栓後しばらくして開くのかというとそうではなく、固いままで、味がみるみるうちに落ちていきます。

全生産者把握を目指して生産者訪問を重ねていた頃、このような欠陥のあるワインを幾度となく試飲しましたが、気分が悪くなって一日中仕事にならなかったこともあり、(そりゃあいろいろ事情はあるのでしょうが)なぜ職人としてもっと真面目にワインを造ろうとしないのかと腹立たしく思ったものです。(余計なお世話でしょうが。。)

 

ちなみに、こういった生産者のワインが、たまに「ギド・アシェット」などに掲載されてしまうこともあるにも関わらず、日本にはほとんど輸入されておらず、また、インポーターの事情など何らかの理由で日本に輸入されたとしても、ほぼ決まって1回限りの輸入で終わってしまっていることは、結果的に、総体としてのわが国のワイン文化の健全さと、飲み手の見識の高さを表していると私は思います。

これは本当に誇るべきことです。

 

話を本題に戻して、先ほど 「基本的には」 、と書きましたが、ごく一部に例外があります。

 

★ まずシャブリ・オーセロワ地区は、シャブリ、サン・ブリ、イランシー、ブルゴーニュ・ヴェズレーなど合わせて、美味しいワインを造っている日本未輸入の無名生産者はまだ15~20人くらい存在します。しかしながら、クオリティーと価格の両面で、既に輸入されているこの地域の生産者のワインと比べてより優れているとは言えず、新たに輸入する大義を得るには至っていません。

 

★ フィサン、マルサネ、(クシェ村やブロション村)、及びオート・コート・ド・ニュイといった、コート・ド・ニュイ地区の相対的にマイナーなAOCの生産者には、ベテラン、中堅、新人それぞれに優良生産者がまだ少しだけいます。しかし、市場規模が相対的に小さいことと、シャブリ同様、既存輸入生産者より良いかというと疑問が残り、輸入されておりません。

 

★ 上記のことは、ペルナン、サヴィニー、ボーヌ、モンテリー、オーセイ・デュレス、サントーバン、サントネー、オート・コート・ド・ボーヌといった、コート・ド・ボーヌ地区の相対的にマイナーなAOCの生産者にもそのまま当てはまります。ただ、特にオート・コート・ド・ボーヌとサントネーには、既存輸入生産者にも負けない「いぶし銀」的な優良生産者がまだ結構います。

 

★ コート・シャロネーズ地区マコン地区は、新世代の生産者が雨後のタケノコのように生まれています。共同組合にぶどうを売っていた栽培農家がドメーヌとして独立した、というパターンが一番多いです。ベテラン、中堅、新人問わずそれなりに品質の高いワインを造っていますが、価格がどんどん上昇していることが大きなネックになっています。

とはいえこの地域は、ヴォーヌ・ロマネ等の生産者にみられる、「ライバルのあいつのワインよりも俺のワインの方が安いということがあっていいわけはない」みたいな理不尽な値上げではなく、低価格帯ワインの生産者ゆえの、純粋な資材価格等原価の上昇による値上げが多く事情はよく理解できるのですが、ただ、販売先にユーロ圏諸国が多く、国によって程度は異なるにせよ総じてインフレであったために値上げが比較的すんなりと受け入れられてきたこと、プラス、為替の影響がないことで、あれよあれよという間に本当に急上昇してきました。

日本では市場規模が大きくないこともあって、インポーターは手を出しづらい状況が続いています。

 

★ ネゴシアンも、新人がどんどん生まれています。新世代のネゴシアンは、ドミニク・ローラン(スイス人)、アレックス・ガンバルやクリストファー・ニューマン(アメリカ人)、ルシアン・ル・モワンヌのソーマ(レバノン人)、仲田さん(日本人)という風にもともと国籍豊かな系譜ですが、この流れが継続して続いており、イギリス人、オランダ人、オーストラリア人、アメリカ人などによる新たな挑戦が続いています。

新しいネゴシアンが世に認められるためには、相当(ある意味ドメーヌ以上に)品質が高くなければなりませんが、ご存知のようにワインの樽売り価格がここ数年暴騰しているため、昔からの馴染みの仕入れルートをもたない新ネゴシアン達のワインの価格もおのずとすごいことになっています。しかし、志の高い誠実な造り手が多く、原油価格が下がり、ワインの需給のバランスが改善されていけば、面白くなるかもしれません。

 

★ 最後に、言うまでもなく、新しく生まれてくる生産者については、その中に未来の凄い生産者が含まれている可能性があります。

 

1. これまでは自社ビン詰めをほとんどしていなかった生産者が、息子 or 娘に世代交代して自社ビン詰めを開始した。

 

2. 家族も畑を持っておらず、本人もワインと関係のない仕事をしていたが、どうしてもワインを造りたくて、畑を借りるなどして自らドメーヌを興した。

 

3. これまではオート・コート系などマイナーなAOCしか持っておらず、細々と、しかし美味しいワインを造ってきたが、15年前にフェルマージュ(賃貸)で貸したヴォーヌ・ロマネの畑が2008年にすべて返却されることになった。

 

等々のケースですね。

 

これまでの経験からは、新人の中からだいたい40~50軒に1軒くらいの割合で、新たに日本の皆さんに紹介したいと心から思える超優良な造り手が見つかっています。打率2%ですので、新しい生産者のご紹介はおのずと超スローペースになります・・・。

 

尚、やや専門的になってしまいますが、弊社の生産者へのアプローチに関する補足事項として、以下のようなレアケースもあります。

 

★ かなり前からワインを造っているが、近年ワインの品質が著しく改善されつつあり、ヴィンテージによる差をも上回るペースで明らかに毎年良くなっていることから、日本に自信をもって輸入できる品質に達するまで、関係を暖めながら待っている。

 

★ コストパフォーマンスが極めて高く、かつ生産量の多い生産者で、当時は固かったヴィンテージが、ジャスト飲み頃のバックヴィンテージになるのを関係を暖めながら待っている。(極めてレアケースですが、あります)。

 

★ イギリス等の引き合いがあまりにも強いため強気の値付け(でしかも完売)が続いているが、なんらかのきっかけで価格が下がるようになるのを、関係を暖めながら待っている。

 

これらの中には、ごくわずかですが人気AOCの生産者も含まれています。(最後の隠し玉です)。

 

 

それにしても、数年前、ブルゴーニュに世代交代の大波が来て新しい優良生産者がごっそりと誕生したことを、今更ながら懐かしく思います。

世代交代は各生産者の家族構成によって任意のタイミングで起こり得ますが、ブルゴーニュのヴィニュロンの場合、世代構成的な理由からか30~35年に一度、大きな交代が起こるようです。

 

次の世代交代の大波が来る時、すなわち、

 

 

お母さんが浅草寺の出店で買ってくれた忍者のコスチュームがすっかりお気に入りのこの子が、たくましく成長し「マリウス・パケ」 として独り立ちする時。

 

そして、

 

 

この子たちが、この時の純粋な喜びを原体験として保ち、やがてお父さんの志を継ぐ時

 

は、25~30年も先か・・・。

 

 

ブルゴーニュの生産者の輸入を巡る状況をざっと整理してみましたが、これほどかように、日本未輸入の優良生産者はもう残っていないのが現実です。

新商品の導入は、「目新しさ」を提案したいインポーターの「性」(さが)みたいなものですし、現に弊社も、今現在35軒程度のブルゴーニュの通常取り扱い生産者を、普通に100軒くらいまでは増やしてもいいと思っていますが、肝心の生産者がいないことには・・・。

 

しかし私は、だからこそ、強く思うのです。

これまで共に歩んできてくれた、従来の取引先生産者達こそを、大切にしようと。

改めて考えるまでもなく、

現在取り扱っているワインこそが、クオリティーと価格の両面から心底惚れて選び抜いたワインです。

今付き合っている彼ら彼女たちこそが、心から共感できる造り手たちです。

新しいものを、新しいものを、と思うあまり、クオリティーの低いワインを輸入するということだけは、あってはなりません。新しく輸入されたブルゴーニュワイン=「新ブルゴーニュ」では決してないのですから。

 

「共感できる造り手たちが誠実に造ったワインを、日本のワインファンにきちんとご紹介する」という原点に今一度立ち戻った上で、造り手たちを訪問してきます。

 

取引先の彼らはみんな、 「収穫の真っ最中でも来てくれて全然構わないよ」 と言ってくれてます。

今から本当に楽しみです。

 

 

6月15日発売の「Real Wine Guide」第22号に掲載された、弊社取り扱い生産者の一覧です。

それぞれの生産者の「生産者紹介」ページへ直リンクを貼っておきますので、同誌の「テースティングレヴュー」と合わせて、ご理解にお役立て下さいませ。

 

「2006 ブルゴーニュ」 テースティングレヴュー より

P019  Pierre Amiot et Fils

P023  Audiffred

P025  Ballorin & F

P030  Yvon et Chantal Contat-Grangé

P041  Didier Montchovet

P045  Agnès et Sèbastien Paquet

P048  Hervé Roumier ・・・「生産者紹介」準備中です。

P060  Jean-Louis Chavy

 

「気になるワイン」 テースティングレヴュー より

P094  Juliette Chenu

 

 

リニエ家の世代交代

2008-06-16

Category : 未分類

モレ・サン・ドニを代表するドメーヌのひとつ、「ユベール・リニエ」の当主ロマン・リニエが2004年に37歳の若さで帰らぬ人となったことに端を発したこのドメーヌの世代交代は、その父ユベール・リニエと、2人の子供とともに後に残された妻ケレン・リニエとの嫁舅の確執を伴うドラマティックなものとなりました。

夫であると同時にワイン造りの師でもあったロマンの遺志によってドメーヌの運営を託されたケレンは、「あの人の夢と志を、子供たちに引き継ぎたい」という一心であらゆる確執を乗り越え、自らワイン造りの修行を重ね、2006年、2人の子供の名前を冠した「リュシー・エ・オーギュスト・リニエ」への社名変更とともに、世代交代を見事に完了させました。

 

 

 

彼女いわく、「娘のリュシーはかなりやんちゃだけど、弟思いのしっかり屋さんです。息子のオーギュストは夫に似て頑固。自分の考えを曲げないわね。2人とももう収穫を手伝ってくれています」。

 

嫁舅の問題もそうですが、ケレンがさらに苦労している点は、アメリカ人であるということです。ブルゴーニュの、特に年配の世代はまだまだ外国人に対してかなり閉鎖的で、私自身もジュヴレ駐在時代はいろいろと不愉快なことも経験しましたし、もはやほとんどブルゴーニュ人と化した(?)仲田さんでさえ、今でも外国人であるがゆえの大変な苦労をされています。(詳しくは仲田さんに怒られますので書きませんが、一緒に飲んでひとり3本目のワインが空になる頃、少しだけ愚痴を聞くことができます)。しかし日本人はまだいいほうで、ケレンの場合は、いろいろな意味で何かとフランスと問題になっているアメリカですので・・・。

 

私事ですが、ケレンとは年が同じで、誕生日も1ヶ月しか離れていません。小さい子供がいる立場としても、また、ブルゴーニュに関わる外国人という立場としても、彼女の苦労の何分の一かは理解できるような気がして、ヴィニュロンヌとバイヤーという関係以前に、同世代の人間として強い共感を感じています。

もちろん、醸造家としての彼女の腕前の方も、プロとして十二分に信頼しています。

 

彼女とそのワインに関心を持っていただける方のために、リニエ家の世代交代にともなう一連の出来事やワイン造りの詳細について、やや専門的になりますが、以下に整理しておきます。(2008年6月改訂版)

 

主な関係者
★ Hubert Lignier(ユベール・リニエ)・・・一代でブルゴーニュを代表する生産者となったリニエ家当主。2008年6月現在74歳
★ Romain Lignier(ロマン・リニエ)・・・ユベールの3人の子供のうちの末っ子。1996年頃からドメーヌ継承開始。2004年に脳腫瘍で他界
★ Laurent Lignier(ローラン・リニエ)・・・ユベールの3人の子供のうちの長男。アルベール・ビショ社ディレクター
★ Kellen Lawton(ケレン・ロートン)・・・アメリカ人。1999年にロマンと結婚してケレン・リニエとなる。1973年3月25日生まれ
★ Bill Downie(ビル・ダウニー)・・・オーストラリア人。ヤラ・バレーの「デ・ボルトーリ」の製造部長
★ Dominique Poirotte(ドミニク・ポワロット)・・・2004年からユベール・リニエの栽培長。2002年~2004年までラ・プス・ドール栽培長も務めた、この道25年以上の名人。醸造にも明るい
★ Lucie Lignier(リュシー・リニエ)・・・2000年に生まれたロマンとケレンの長女
★ Auguste Lignier(オーギュスト・リニエ)・・・2002年に生まれたロマンとケレンの長男

 

出来事

1996年
○  ユベールからロマンへの相続を開始するため、EARL Hubert Lignierという会社を設立。社長はロマンで、株主はロマン74%、ユベール13%、フランソワーズ(ユベールの妻)13%
○  畑の総面積は約8.4haで、うち約6haはユベールがEARL Hubert Lignierにメテイヤージュ賃貸(収穫の3分の1相当分をユベールに地代として現物返済する契約)、約1.5haはロマンが所有、約1haは第三者所有畑をメテイヤージュで賃借

 

1999年
○  ロマンとケレンが結婚し、ケレン、ブルゴーニュに来る。ケレン、ロマンから栽培と醸造を学ぶ

 

2000年~2002年
○ ケレン、ロマンから栽培と醸造を学ぶ
○ 2000年、リュシー誕生
○ 2002年、オーギュスト誕生

 

2003年
○  ロマン、1月にEARL Hubert Lignier社のユベールとフランソワーズ持ち分の株式を譲り受け、100%継承完了
○  ユベール、3月に老後資金の安定調達のための販売会社SARL Lignier-Lawtonを設立。株主はユベール99%、ケレン1%でケレンを社長にする。EARL Hubert Lignierの造るすべてのワインをこの販社を通じて販売することを意図するが失敗。ケレン、ユベールに対する不信感が芽生える
○  ロマン、収穫期に脳腫瘍で倒れる
○  ケレンとその子供たち、ロマン所有の1.5haを相続(結婚する時にロマンは、万一彼に何かあった場合、すべてをケレン(と将来の子供たち)が相続できるように、フランス法上の特別な結婚形態を選んだ)

 

2004年 
○  ロマン、2月に帰らぬ人となる。享年34歳
○  ケレン、ボーヌの醸造学校CFPPAのBPREA(栽培・醸造コース)を修了
○  栽培長としてドミニク・ポワロット入社
○  醸造家としてビル・ダウニー招聘

(この年のワイン造り)
○ 栽培はユベール・リニエ、ドミニク・ポワロット
○ 醸造はユベール・リニエ、ビル・ダウニー、ケレン・リニエ
○ 熟成・ビン詰めはケレン・リニエ

 

2005年
○ ケレン、DRCとアンヌ・グロで収穫や発酵・醸造の短期研修
○  ケレン、12月にEARL Hubert Lignier社の社長に就任。ユベールが猛反対し、これを巡ってユベールとケレンの確執が表面化。長年ユベールと一緒に働いていた秘書等4人の従業員もケレンに抗議の退社
○  ドミニク・ポワロット、ケレン支持を表明。以降のケレンにとって大きな支えとなる
○  ビル・ダウニー、この年の醸造を最後に招聘終了

(この年のワイン造り)
○  栽培はユベール・リニエ、ドミニク・ポワロット
○  醸造はユベール・リニエ、ドミニク・ポワロット、ビル・ダウニー (ケレン・リニエは醸造方針の話し合いに参加したのみ)
○  熟成・ビン詰めはケレン・リニエ、ドミニク・ポワロット (ユベール分のワインはユベールがビン詰め)

 

 

 ドミニク・ポワロットとケレン・リニエ

 

2006年
○  ケレン、5月に販社SARL Lignier-Lawton社長を辞任。ローランがアルベール・ビショ社ディレクター兼務で社長となり、SARL Hubert Lignier Père et Filsに社名変更。以降、ネゴシアンブランド管理会社的な位置付けとなる

(この年のワイン造り)
○  栽培からビン詰めまで、すべてケレン・リニエとドミニク・ポワロット(ユベール分のワインはユベールがビン詰め)

 

2007年
○  ケレン、1月にEARL Hubert LignierをEARL Lucie et Auguste Lignierに社名変更
○  4月、新ラベル完成し、リリース開始

 

今日の畑について

畑の総面積は約8.4ha。うち約6haは変わらずユベールの所有で、社名変更したEARL Lucie et Auguste Lignierにメテイヤージュ賃貸(収穫の3分の1相当分をユベールに地代として現物返済する契約)です。この契約は2020年まで有効です。約1.5haはロマンから相続したケレンの自社畑。約1haは第三者所有畑をメテイヤージュで賃借しています。

 

<畑の面積と所有者>

Bourgogne Aligoté (0.59ha) ・・・Hubert Lignier
Bourgogne Passetoutgrains (0.56ha) ・・・Hubert Lignier
Bourgogne Pinot Noir (0.65ha) ・・・Hubert Lignier
Fixin Chardonnay Champs de Vosger (0.24ha) ・・・第三者
Gevrey-Chambertin Les Seuvrées (1.02ha) ・・・Hubert Lignier
Gevrey- Chambertin 1er Cru Aux Combottes (0.13ha) ・・・第三者
Charmes- Chambertin (0.08ha) ・・・Hubert Lignier
Morey-St.-Denis (0.95ha) ・・・Hubert Lignier
Morey-St.-Denis Les Sionnières (1.11ha) ・・・L&A Lignier
Morey-St.-Denis 1er Cru Cuvée Romain Lignier (0.53ha) ・・・Hubert Lignier
Morey-St.-Denis 1er Cru Les Chaffots (0.60ha) ・・・Hubert Lignier、L&A Lignier
Morey-St.-Denis 1er Cru La Riotte (0.15ha) ・・・L&A Lignier
Clos de la Roche (1.10ha) ・・・Hubert Lignier、L&A Lignier、第三者
Chambolle-Musigny Les Bussières (0.49ha) ・・・Hubert Lignier
Chambolle-Musigny 1er Cru Les Baudes (0.17ha) ・・・Hubert Lignier

 
バックヴィンテージについて

1998年からのバックヴィンテージについて、その所有者は、3分の1がユベール、3分の2がケレンとなります。上記1996年の下線部分をご参照ください。この中にあるユベールとのメテイヤージュ契約によって、1996年以降のヴィンテージはすべてこの比率で配分されました。2003年、ロマンがそれまで保有していたこれらの在庫が、ケレンに相続された次第です。

私たちがご紹介するLucie et Auguste Lignierラベルもののうち、1998年~2004年ヴィンテージのすべてのワインのコルクには、Hubert Lignierの刻印があります。2005年ヴィンテージより、刻印もLucie et Auguste Lignierとなります。